生体イメージング技術で心電図検査を超高精度化

心電図は、心臓全体の電気的な活動を観測したものです。心電図を記録することで、心臓内に流れる電気信号のリズムの乱れが原因となる不整脈などの心疾患を早期に発見することができます。

私たちの研究室では、MRI、 CTなどの医用画像から構成した詳細な人体モデルとオリジナルの電磁界シミュレーションソフトを組み合わせ、生体イメージング技術の開発に取り組んでいます。

生体イメージング技術は、電磁気学、信号処理、電気回路がベースになっています。心疾患の原因を推定するアルゴリズムの開発や医療機器の最適化などに応用しています。

近年では、計算機の性能が向上し、心臓の電気現象をシミュレーションで再現し、医療のさまざまな問題を解決しようとする取り組みが盛んです。しかし、これらの手法は計算量が莫大でスーパーコンピューターを必要とするため、低コストの手法の確立が求められています。私たちの生体イメージング技術は、この課題を乗り越えるばかりでなく、個々の医師の経験に基づいて行われていた心電図検査の高精度化を図れる点でも画期的であるといえます。

 

 

脳波から脳のどの部分が活動しているかを推定

脳波は、脳の電気的な活動を観測したものです。そのため、電磁界解析技術を応用すれば、無数にある脳の電気活動パターンを再現することが可能です。私たちの研究室では、MRIなどの脳画像から患者さん一人ひとりの詳細な頭部モデルを構成し、脳波から脳の電気活動を予測することで、脳のどの部分が活動しているかを高速かつ高精度に推定する方法の確立に取り組んでいます。

現在、脳活動の観測は、脳疾患の手術前診断に利用されています。これに加え、脳活動の位置を推定することにより、病巣の特定や脳機能の調査といった高度医療などのさまざまな分野への発展を期待します。その他、エンターテイメントなどへの広い利活用も提案しています。将来は、テレパシーも夢ではなくなるかもしれません。