安心で安全なデバイスの設計に向けて

私たちは、電気機器や送電線から発生する電磁界(電波)に日々さらされています。電磁界の強度が非常に強くなると、人体に影響をおよぼす可能性があります。私たちの研究室では、安全な電気機器をどのように設計していけばいいのかという工学的なチャレンジ精神と、その安全基準をどのように設定するかという学問的な興味からこの研究に取り組んでいます。

 

電気自動車の安全設計

電気自動車は配線が多く、車内に発生する電磁界を人が浴びたときの影響への関心が高まっています。また、最近は電気自動車のワイヤレス給電(WPT)の実用化に向けて、その安全性にも注目が集まっています。私たちの研究室では、電気自動車モデルと人体モデルを組み合わせ、車内の人に誘導される電流をシミュレーションで計算し、人体への安全性を評価する技術を確立しました。

この開発モデルは、安全な設計に生かされることが期待されます。

 

スマートフォン(5Gを含む)など無線機器の安全性評価

近年の通信技術の目覚ましい発展により、携帯電話などの無線通信機器は従来の想定を上回る周波数で利用されるようになりました。高周波環境の安全性についてのデータを蓄積することが急がれる中、私たちの研究室では人体モデルを用い、電波による体温上昇のシミュレーションを行なっています。

解析結果は、世界保健機構(WHO)による電磁界ばく露に関する文書、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン、米国電気電子学会(IEEE)の定める規格、日本の電波防護指針の根拠として採用されています。日本でも2020年春より順次始まる5Gサービス展開に先立った安全の確保にも貢献しています。この開発モデルは、人体を考慮したアンテナ設計にも応用可能です。